若年性認知症カフェ いきいき*カフェ・レポート#011

若年性認知症者の家族のためのカフェ

3月19日(木)いきいき*カフェが開催されました。

2020.3.31更新

いきいき*カフェは、若年性認知症のご家族が自由にトークできる場。日頃悩んでいることを共有したり、不安に感じていることを一緒に話してみませんか。

今回は奥様が前頭側頭型認知症のAさん、奥様がアルツハイマー型認知症のBさんが参加されました。日頃のご様子や普段心がけておられることなどをいろいろとお聞かせくださいました。

意思が無いわけではなく、うまく伝えられなかったり、整理できなかったりするだけ

いきいき:Aさんの奥様はお薬をご自身で管理されているのでしょうか?
Aさん:そうですね。基本的に自分でやっています。もともと心配性なところがあって、前日の夜に翌日の朝の分を自分で用意しますね。
いきいき:前日に用意されるんですね。性格が出ますね。Bさんの奥様はお薬に関してはいかがですか?
Bさん:ウチの場合は診断後1~2年くらいは、自分でなんとかお薬カレンダーを使って管理していたのですが、その後は私が薬をお薬ボックスにセットして本人と一緒に管理していました。現在は難しくなったので、全て私が管理しています。ウチの場合は認知症だけでなく大腸の疾患も併せて患っているので、薬の数が多くて飲むのを嫌がることが多いですね。服薬ゼリーやヨーグルトなど色々と手を変え品を変えやってみたのですが、薬だけ残ってしまってなかなかうまくいきません。洗濯機の裏や棚の隅から隠した錠剤がしょっちゅう出てきたりします(笑)。なかなか悩ましいです。
いきいき:Aさんの奥様は飲むのを嫌がられることはありますか?抑肝散もお飲みのようですが、よく飲みづらいと聞きますが…。
Aさん:特に嫌がるようなことはないです。抑肝散*1に関しても特に飲みづらそうではないですね。ただ、最近血圧の薬を飲み始めたのですが、初めのうちはすごく嫌がりました。これは薬に限ったことではありませんが、決まっていることを変えるのが難しいタイプですので、新しい事を始めるときはいきなり強引に状況を変えるのではなく、お医者さんや介護支援者の方と協力して、ゆっくりとシフトしていくように心がけています。何と言うか、自分の意志でやっているという方向性で進めるとうまくいきます。これは病気であるないに関わらずごく当たり前のことかもしれませんね。できるだけ本人の意思が尊重される形でサポートしていきたいですね。
Bさん:意思が無いわけではなく、うまく伝えられなかったり、整理できなかったりするだけなので、本人の意思を尊重して一緒に考えていくのは当然のことと心しているのですが、その当然のことが現実的にはなかなか難しいということも多いですね…。
※1:抑肝散(よくかんさん)は漢方薬。神経の興奮、怒りやイライラを改善。認知症の薬としてもよく使われます。

いつも漠然とした不安と混乱が心を支配しているのだと思います

いきいき: Aさんの奥様は病識はおありですか?
Aさん:病識はありませんね。本人は「私は今まで通り普通だ。」と言っています。ただ、同居している娘と妻の病気の話をしていると凄く嫌がって「そんな話はしないで欲しい」と言い出します。違和感やストレスは強く感じていて、それが言葉になって現れてくるのだと思います。
いきいき:Bさんの奥様はどうでしょう?
Bさん:ウチの場合は最初のうちはしっかりと病識があったのでそのことでとても苦しんでいました。病気を理解しているというのは本人にとってそれは苦しかったと思います。いつも泣いていました。私自身もなかなか受け止められなかったので、その頃はその頃で二人ともとても苦しかった。今はほとんど病識がなくなりましたが、いつも漠然とした不安と混乱が心を支配しているのだと思います。病識が無くなっても苦しさが消えるわけではないですよね。いろいろな状況から推測したり、表現を変えて質問してみたりして、できる限り本人の気持ちを感じ取っていきたいと思っています。

三か月に一回は旅行に行くようにしています

いきいき:Aさんは前回も参加していただき、最近のご自身の心境なども語っていただきましたが、どのようなところに不安を感じていらしゃるのでしょう。
Aさん:洗濯物を干してもらったりしているのですが、最近だんだんと作業が雑になってきているように感じています。以前はただ不安そうにしているだけでしたが、最近は不安を口にすることが場面が多くなり、より自分を抑制しなくなってきています。「少しずつ進行しているな。」と感じることも多く、自分自身先が見えない不安感に襲われることが増えてきているように感じています。
いきいき:同居されているお嬢さんが独立されるということですが、ご夫婦お二人になられることについてはどうでしょう。
Aさん:妻の方はあまり気にしていない様子です。私の方は、心配なことも多いのですが考えても答えは出ないのであまり先のことを考え過ぎないようにしようと心がけています。
いきいき:いきいき*がくだい以外へのデイサービスの通所もお考えだとお聞きしましたが…。
Aさん:区をまたいでいるのですが、若年性認知症に特化している施設で自宅から比較的近く送迎もしてくれるようなので、前向きに検討しているところです。先ほどもお話ししましたが、いきなり進めてしまうとうまくいかない場合があるので、ゆっくり説明して無理の無いかたちで緩やかに新しいプランに移行していければと思っています。
いきいき:定期的に旅行に行かれているとおっしゃておられましたね。
Aさん:そうですね。出来るうちに出来ることをやりたくて三か月に一回は旅行に行くようにしています。先日も伊豆に行ってきました。
いきいき:伊豆だとかなり移動時間も長いかと思いますが、移動中に不安になったりすることは無かったですか?
Aさん:車の移動は長時間でしたが、不安になるようなことはありませんでした。新型コロナウィルスので無理かと思ったのですが、一部屋ずつ別になっていたので特に影響はありませんでした。食事もお風呂も自分たちの部屋だったので、2m範囲内で人とあうということがありませんでした。ウチの状況にも合っていてとても快適に過ごせました。旅行は今後も出来るだけ続けたいと思っています。


若年性認知症カフェ いきいき*カフェは新型コロナウイルスの拡散防止のため、当面中止いたします。再開の際はお知らせさせていただきます。

Information #021

認知症の理解を深める普及・啓発キャンペーン「本人座談会」映像活用のてびき

4人の認知症の当事者が、いま伝えておきたいことを、認知症になり苦しんだこと、元気を取り戻したきっかけ、支援のあり方、自立した暮らしのための工夫や認知症にやさしい社会とは何か…などについて本人だけで思い思いに語り合います。


映像は「オープニング&自己紹介」です。 詳しくはコチラ
※出典:平成29年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)
「認知症の理解を深める普及・啓発キャンペーンの効果的な実施方法等に関する調査研究」

Information #022

老いた親を愛せますか? それでも介護はやってくる

著者 岸見 一郎

ベストセラー『嫌われる勇気』著者にしてアドラー心理学の権威である著者が、これからの親とのかかわり方、ありのままの家族の関係を提言します。認知症の親との関りは、そのままパートナーとのそれとイコールではありませんが、介護だけではなく生きること自体を見つめるための示唆にあふれています。

東京都若年性認知症総合支援センター

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