若年性認知症 相談事例集

相談事例#001

Aさん(50代男性)からの電話相談
「自分が若年性認知症ではないかと心配しています。医者に診てもらった方がいいのでしょうか。」


若年性認知症支援コーディネーターが、仕事や日常生活でのエピソードをお聞きすると、社内では部長職であり、予定を忘れていると部下が教えてくれることがある、会議に集中できず他者の意見を忘れてしまうということでした。『認知症の疑いチェックリスト』を活用して聞き取りをすると、奥様からもおかしいと言われていると話されたため、家族からの情報収集が必要であると判断しました。
後日、奥様から情報収集した結果、車で出かけると実家など慣れたところでもたどり着けないことがあり、焦ってしまうとナビもうまく操作できない、以前は穏やかだったのに怒りっぽくなり長女が言った些細なことに怒鳴ることがあるということでした。そこで近隣の認知症疾患医療センターへの受診を奥様の付き添いのもとで行うようにお勧めし、ご本人の了解を得て事前に担当の医療ソーシャルワーカーへ情報提供を行いました。
その後、アルツハイマー型認知症と診断され、医療ソーシャルワーカーの勧めによって東京都若年性認知症総合支援センターで面談を実施して、今後の就労と経済保障を中心にマネジメント支援が開始されました。

相談事例#002

Bさん(30代女性)からの電話相談
「物忘れをするようになり、昨日食べたものも忘れてしまいます。認知症を調べてくれる病院を教えてほしいのですが…。」


前々日の食事の内容を忘れてしまうことが2週間位前から始まった。買い置きしてある化粧品を再び買ってしまうことがある、仕事では周囲から指摘されることはないということでした。また、ご主人に心配している内容を話すと、あまりよく聞いてくれないと泣きだす様子が見られました。ご主人以外には保健師とよく話すと言われたため、既往歴をお聞きするとうつ病での受診歴があるということでした。
ご本人の了解を得て保健師に電話すると、服薬ができなくなると心配事が大きくなる傾向があるとのことでしたので、再度ご本人に連絡をし、まずは現在の主治医に相談することをお伝えし、主治医が必要と判断したら認知症の検査を行うため認知症疾患医療センターへの紹介状を書いてもらうと受診がスムーズであることを助言しました。

相談事例#003

Cさん(50代男性)の奥様からの電話相談
「夫が若年性認知症と言われました。まだ働いていますが、友人が相談した方がいいのではないかと勧めてくれたので電話しました。」


若年性認知症支援コーディネーターが基本情報を聞き取ると、診断された病名はわからない、近隣のクリニックに受診した、MRI などの検査は行っていないとのことでした。そこで、主治医と連絡を取った結果、認知症専門医療機関での受診につなげることができ、前頭側頭型認知症と診断されたため、本人・家族と面談を行うことができました。
ご本人は表情の変化があまりなく、氏名を正しく書くことができませんでした。会社での様子をお聞きすると、車の運転を行っているということであり、奥様は、まだ運転は大丈夫ではないかと話したため、前頭側頭型認知症について資料を用いて説明を行い、車の運転が危険であることや、仕事上でのコミュニケーションが取れているのかについて懸念していることも伝えられました。
また、主治医に書面にて面談時の様子を連絡し、再度、ご本人・ご家族に対し病気についての説明をしてもらうように依頼をしました。
奥様は、認知症と言う病気についてテレビなどで見てなんとなくわかってはいたものの、夫は大丈夫ではないかという思いと、詳しく知りたくないという思いがあった、とご自身の気持ちを泣きながら吐露されました。仕事ができていないかもしれないという主治医の意見もあり、奥様もご主人と一緒にいる時間をつくるようにしたところ、コミュニケーションがとりにくい、以前よりこだわりが強い、などの状態がわかってきてショックを受けているが、会社には連絡してみようと思うと言われました。
会社と連絡を取ったところ、丁度、上司がご本人の最近の様子を心配して奥様への連絡を考えていたところであり、若年性認知症支援コーディネーターも加わり、定年までの仕事の継続と休職などの時期について会議を行いました。
さらに、奥様の心理的なサポートとして、地域の担当保健師へ連絡を行い、自立支援医療の手続き時に奥様のご様子の把握や今後の見守りについて依頼を行いました。

相談事例#004

Dさん(50代男性)の奥様からの電話相談
「認知症になって会社を退職しましたが、住宅ローンもあり困っています。就職をさせたいのですが、認知症でも働ける就職先を探す支援をしていただけないでしょうか。」


若年性認知症支援コーディネーターが、まず初回アセスメントシートで情報の聞き取りを行ったところ、認知症の診断を受けてから5年が経過していました。ご自宅では日中テレビを見て過ごすことが多く、退職直後には散歩をしていたが、最近は全く行かなくなり、奥様が促すと怒ることが多くなったようです。排泄や食事などは自立しているようでしたが、朝起きても洋服を着替えないため何度も着替えるように促すと怒るとのことでした。奥様は、ご主人が働かずに怠けているので仕事に行けば着替えたり、出かけたりするので、認知症進行を予防できる、とお考えのようでした。お子様はすでに独立しており、住宅ローンについてはお子様が実家に住む代わりに、支払いをしてもいいと言っているとの情報も得られました。
若年性認知症支援コーディネーターは、まず経済保障全体の説明を行い、厚生障害年金の受給が可能であるため、ローンを月々支払っても残額と預貯金での生活が可能ではないかとの見通しについて説明しました。
また、受診に付き添って主治医に認知症の状態を確認したところ、中等度の認知症の状態であり、再就職は難しいとの判断でした。そこで、再度ご本人・奥様と面談を行い、障害年金の受給手続きや、介護保険を申請して認知症の進行予防として日中通所できる場所を見つけていくなどの支援計画についてご説明すると、ご本人も奥様も「安心しました」とおっしゃられ、早速手続きの支援を行いました。

相談事例#005

 Eさん(50代男性)の奥様からケアマネジャーへの相談
「今通っているデイサービスへ行くと、よく怒ったり興奮してしまい、他の利用者が嫌がるので通所を見合わせてほしいと言われました。他に通えるところはないでしょうか。」


若年性認知症支援コーディネーターが、ケアマネジャーからご本人のご様子を確認したところ、先月の訪問時には穏やかであったが、身体が大きく怒ると怖いので、高齢者を多く受け入れている施設側も困っているということでした。
そこで、今月末まで利用予定のデイサービスへケアマネジャーと共に見学に行きました。一番初めにデイサービスに到着したEさんは、職員と穏やかに話したり、お茶を飲んでゆっくりと過ごされていましたが、次第に利用者が増えてくると、コップを投げるように置いたり、机を手で叩くなど落ち着かない様子になり、近くで話していた利用者の言葉を大きな声で繰り返し、興奮が徐々に大きくなる様子が見られました。
ご自宅での様子を奥様から伺うと、一人でテレビを見たり、たまにひとりで歌うなど、穏やかに過ごしているということでした。そこで、若年性認知症支援コーディネーターは、デイルームの横にある保健室で職員と2 人で過ごすことを提案したところ、興奮することもなく長時間過ごすことができ、落ち着いた普通の大きさの声で自然に歌を歌うこともできました。
また、その後、主治医へデイサービスでのご様子を伝えたところ、薬が変更になり、次第にデイルームでも穏やかに過ごされるようになりました。

相談事例#006

 Fさん(50代男性)の奥様からの相談
「認知症と診断されたのですが、住宅ローンがあって将来が不安です。認知症では住宅ローンは無くならないのでしょうか。」


若年性認知症支援コーディネーターは、奥様の不安に対して共感を伝えた後、ご本人の就労の有無、ご家族の生活などについて情報収集を行い、面談を行うために窓口に来ていただくこととしました。
Fさんはまだ働いているが文字が書けなくなっており、仕事はできていないのではないかと思っていること、ご長女は働いているがご長男は高校生であり、お子様には認知症のことは伝えていないことが判明しました。また、ご本人のお父様が認知症であり自宅で介護していること、奥様も家のローンのためパートで働いており、仕事を休めないこと、パートの同僚にも、自分の夫が認知症であることを話すことができないことなどを話されました。
うつ性自己評価尺度によりチェックをしたところ、奥様は抑うつ状態であり、食欲がなく痩せてしまったと話されました。
そこで、経済的支援として、ご主人の休職や退職に伴う経済保障について説明し、住宅ローンの高度障害保障について情報をお伝えするとともに、資産情報シートを用いて今後の生活保障についての整理をしました。
次に、働いているご長女へ相談が必要であることをお伝えし、主治医からご長女に対してFさんの病気について説明する機会をつくり、ご長女に対して奥様へのサポートを依頼しました。

相談事例#007

 Gさん(50代女性)のご長女からの相談
「母が発症後何もしないで家に閉じこもっているので、このまま進行してしまうのではないかと心配しています。」


Gさんはもともと友人も多く、スポーツクラブやコーラスなどに出かけることが多かったが、一度道に迷ったことをきっかけに自宅に閉じこもることが増えました。
ご長女が、インターネットで調べて東京都若年性認知症総合支援センターの存在を知り相談の電話を入れられました。
若年性認知症支援コーディネーターが、ご本人に会うために訪問してご自宅での様子を確認したところ、明るい様子で挨拶をされ、ご自身がよく歌っていた歌の話などをされましたが、同じ話を繰り返す様子が見られました。また、ご長女に促され、お茶を入れようとしたところ、ポットの使い方がわからないご様子が見られました。
ご本人は道に迷って行けなくなったコーラスに通いたいと言われ、ご長女は、ご家族が皆働いているため、日中、ご本人が一人でいることが心配だが、高齢者の多いデイサービスなどにお母様を通わせることは、嫌だと思っていると訴えられました。
若年性認知症支援コーディネーターは、ご本人とご家族のニーズに沿って、いくつかの社会資源を候補にあげました。まず、移動支援によるヘルパーの付き添いでコーラスに通う、月1 回の日曜日にご長女やお父様と一緒に若年性認知症家族会へ行き、ご本人が交流会に参加している間、ご家族は家族同士の情報交換に参加することをご提案しました。また、日中のご家族の不在の間は、介護保険サービスの活用が安全で安心が得られることをご説明し、高齢者は多いものの、歌の先生やピアノ演奏のボランティアが来る近隣のデイサービスに週1 回の通所をお勧めしました。そしてマイケアプランシートを作成して、ご本人・ご家族が予定を確認できるようにしました。
介護保険のサービス開始後に何回か訪問して確認したところ、ご自宅では個別にウォーキングをする時間をマイケアプランシートに書き込んでおられました。デイサービスではコーラス部ができ、ご本人に合ったケアが次第に増えて、通所を楽しみにするようになり、ご家族も日数を増やしてほしいと希望されるようになりました。


東京都若年性認知症総合支援センター

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