いきいき通信オンライン 43号

いきいき通信オンライン 43号

2019年12月27日更新

第43号いきいき通信オンライン テーマ

お互いを知り、地域の課題を共有しながら協力・連携の絆を深めよう

第43号のいきいき通信は、「お互いを知り、地域の課題を共有しながら、協力・連携の絆を深めよう」をテーマにお届けします。今年度は『「絆」を深めよう』を年間テーマに、つながりのある関係機関やサポーターとの絆をより深められるよう、顔の見える活動を通して、高次脳機能障害や若年性認知症について普及・啓発を継続してきました。
10月23日には、今回の通信のテーマに共通する「関係機関とのネットワーク作り」や「連携強化」を目的に開催している「第12回目黒区高次脳機能障害者支援連絡会」を通し、高次脳機能障害の支援の現状や課題を支援者間で共有し、今後の協力・連携体制について検討しました。
今号を通して、読者の方にも高次脳機能障害の方やご家族への支援、連携の大切さを知ってもらうことで、高次脳機能障害の支援のあり方、今後に向けた取り組みを一緒に考えていけたらうれしいです。

高次脳機能障害のある方が地域生活を送る上での必要な視点や課題、その解決の糸口とは?

高次脳機能障害のある方が地域で安心した生活を送るには、どのような支援や体制作りが必要でしょうか?
本号では、目黒区高次脳機能障害者支援連絡会内での検討から見えてきた、高次脳機能障害者が地域生活を送る上で必要と考えられる視点や課題についてまとめています。ご本人が生活をする上で困難さを伴うのもさることながら、ご本人の突然の発症・受傷によって、ご本人を支えながら仕事や家事・育児を行うご家族の負担感、長期的に見て回復が見込まれる障害であるため継続して関わっていく支援者の連携など…。医療・介護・障害分野の支援者の多様な意見が挙がりましたので、ぜひご覧ください!


目黒区高次脳機能障害者支援連絡会を開催しました!

●日時
令和元年10月23日(水)18:30~20:30
●場所
目黒区総合庁舎2階 大会議室
●内容
1)各報告
・東京都区市町村高次脳機能障害者支援促進事業支援員連絡会報告
・2018年度高次脳機能障害者支援促進事業実績及び2019年度計画
・参加関係機関からの高次脳機能障害における各施設、団体より報告
2)事例報告
「受傷後長期経過し、生活再建に向けて区内支援者で連携を試みた事例」
3)意見交換

それって「病識」の問題?

高次脳機能障害の症状のひとつに、「病識の欠如」があります。ご自身では「障害を認識できていない」という状況を指します。この「病識の欠如」が家族や周囲の悩みの種になることが少なくありません。ただし、元々持ち合わせている性格や、当事者が理解できる説明を周囲ができているのかなど、病識に起因しない問題の影響も考えられることも念頭に置き、改めて丁寧で総合的なアセスメントする大切さについて意見が挙がりました。

家族が孤立しないサポート体制を

40~50代の働き盛りの発症であると、介護者である家族も仕事や育児など多忙な生活を送っています。病院に来る時間もとれず、身近に相談出来る人もなく、孤立してしまう状況も少なくありません。現状へのとまどいや気持ちの揺れも大きく、当事者と併せてご家族も含んだ一体的なサポート体制作りを心がけていく必要があります。同じ境遇の家族同士が集まる機会を作ることで、家族の意見が届いてくるようになったとの体験談もありました。

地域で埋もれさせない切れ目のない支援を

発症・受傷から日が浅い急性期では、障害の有無の見極めが難しく、高次脳機能障害の診断がつかないこともあります。しかし、退院して、見守りのある院内での環境下を離れ、社会生活に戻ると、生活上の支障が表面化して障害が見えてくることがあります。そういった退院後の事態に備え、退院時に高次脳機能障害の啓発リーフレットを渡し、何か気になったときに相談できるつながりを残したり、退院した後も必要なリハビリが受けられるように受け皿を確保している病院もありました。

地道に長期的な連携を続けよう
高次脳機能障害の支援において、なぜ支援者間の連携が必要なのか、改めて立ち止まって考えてみる機会となりました。発症から長期経過を経た当事者の声に耳を傾けてみると、「発症当時は頭がすっきりしなくて考えたことがすぐに出てこなかったが、今はすっと出てくるようになった」と、述べられることがあるとの話がありました。ここからわかることは、高次脳機能障害は、長期的な経過をたどりながら少しずつ回復していく特徴のある障害であるということです。回復には時間を要すため、周囲は地道に連携しながら支援を継続していくことが求められるのです。
まとめ

目黒区高次脳機能障害者支援センターいきいき*せかんど活動紹介&スタッフ紹介

目黒区高次脳機能障害者支援センターいきいき*せかんどで働きはじめて4年目の作業療法士 高山です。今回は個別訓練について紹介させていただきます。個別訓練ではその方の目標に合わせて、事務作業や軽作業、再発予防のための健康管理などを行っています。高次脳機能障害は見えない障害と言われており、周囲の方々もそうですが、当事者の利用者様も今までの自分と何が変わったのか分からなくなってしまうことが多いです。そのため、訓練を通してご自身の苦手なこと、得意なことを知る機会を設けています。苦手なことを知ると気持ちが沈んでしまう方もいらっしゃいますが、苦手なことを知るだけでなく、それを補うための方法は何かを一緒に考え、できることを増やしながら利用者様がいきいきと生活できるように支援をしています。(写真:正しい姿勢で書字を行う訓練です/左 高山)


今年度よりお世話になっている社会福祉士の坂田です。目黒区高次脳機能障害者支援センターいきいき*せかんどでは月に2回、区役所販売を行っていますが、実は販売のある週は必ず時間をとって、販売に向けた訓練をしています。高次脳機能障害者にとって、販売会のような一般の多くの人と、その場に応じた対応を求められる活動をすることは難しいことです。せかんど一同は難しいからやらない、のではなくロールプレイをしたり、キャッチフレーズを考えたり、商品の陳列の仕方まで考え、どうしたらお客様に満足していただけるか、高次脳機能障害を知っていただけるかを突き詰めています。区役所販売以外の販売時も同様に行っており、少しずつではありますが、対人交流に自信をつけたり、高次脳機能障害の普及啓発ができているのではないかと思っております。(写真:販売直前にもロールプレイを行います/左 坂田)

理事紹介

目黒区高次脳機能障害者支援センターいきいき*せかんどが設立される少し前の時期から、約7年間職員として働いていました。長い間「就労支援」をテーマに活動していましたが、今は子供から高齢の方まで、幅広く訪問リハビリの仕事をしながら、自分も子育てに奮闘しています。いきいきは利用者の方々の「主体性」を何より大切にしている場所です。理事として、また関わる機会を頂き光栄に思っています。いきいきに通っている方、卒業された方、関わってくださる全ての方々の様々なチャレンジを応援しています。(写真:株式会社 東京リハビリテーションサービス 東京リハビリ訪問看護ステーション所属 理事会 監事 田坂麻紀子)

新入職員紹介

  • ●氏名:大野 菜奈(おおの なな)
    ●職種:社会福祉士
    ●あなたにとって仲間とは?:自分を支えてくれる大切な存在。
    ●皆さんへ一言:日々、成長していけるよう頑張りたいです。よろしくお願いします。
  • 講演会とセミナーのお知らせ!!

    若年性認知症講演会

    ●日時:令和2年1月18日(土)14:00〜16:00 開場:13:30~
    ●会場:公益財団法人東京都保健医療公社 荏原病院 第1・2会議室
    (東京都大田区東雪谷4-5-10)
    ●主催:東京都若年性認知症総合支援センター
    ●問合せ先:東京都若年性認知症総合支援センター TEL:03-3713-8205
    1. 『意外に見過ごされている脳器質的疾患に伴う若年性認知症』
    公益財団法人東京都保健医療公社 荏原病院
    認知症疾患医療センター長   野原 千洋子 氏
    2. 『若年性認知症の方が利用できる制度・サービスについて』
    東京都若年性認知症総合支援センター
    若年性認知症支援コーディネーター・センター長  駒井 由起子
    詳しい情報はコチラ


    目黒区: 第12回 高次脳機能障害支援セミナー

    ●令和2年1月31日(金)18:00~20:00 開場:17:30~
    ●会場:目黒区役所2階大会議室
    (目黒区上目黒ニ丁目19番15号)
    ●主催:目黒区
    ●問合せ先:目黒区高次脳機能障害者支援センター TEL:03-6808-8575
    ■第一部
    医師による講義:和田義明先生
    日産厚生会玉川病院 院長/区西南部高次脳機能障害支援センター長)
    「脳卒中による高次脳機能障害
    -回復期リハビリテーションから社会復帰支援まで-」

    ■第二部
    当事者のご家族からのお話(いきいき*がくだい)
    「高次脳機能障害の夫とともに歩む回復までの道」

    詳しい情報はコチラ

    就労継続支援B型事業所
    「目黒区高次脳機能障害者支援センターいきいき*せかんど」商品紹介


    ❶季節限定「黒糖くるみビスコッティ」
    生地にくるみが入っていて、黒糖の自然な甘さがお口全体に広がります。●価格 1袋5本入り 150円

    ❷2月限定商品 ブラウニー販売予定!
    しっとりとした食感のチョコケーキで、ミルクと一緒に召し上がっていただくと、美味しさがより引き立ちます。●価格 1袋2個入り 250円

    NPO会員のご案内会員とは

    • ●NPO会員とは、主に賛助会員で構成され、事業活動を理解・応援して下さる方をいいます。
    • ●当NPO法人の場合、若年性認知症や高次脳機能障害の啓発活動を応援して下さる方が会員となります。
    • ●施設利用の有無に関わらず、応援することができます。

    会費

    • 事務局の運営、並びに通信の発行や講座等の啓発活動に使われます。
    • ●入会金…1,000円
    • ●年会費…1,000円

    新規NPO会員のみなさま

    • 今回1名の方に新しくご入会頂きました。ありがとうございます。今後とも宜しくお願い致します。


    今年度より通信のデザインを一新し、読者の皆さんにより楽しめるような内容にしようと、職員一丸となり制作しました。今回の通信はいかがだったでしょうか?ぜひ感想を聞かせて頂けたら嬉しいです。