若年性認知症カフェ いきいき*カフェ・レポート#009

若年性認知症者の家族のためのカフェ

1月23日(木)いきいきカフェが開催されました。

2020.2.10更新

いきいきカフェは、若年性認知症のご家族が自由にトークできる場。
日頃悩んでいることを共有したり、不安に感じていることを一緒に話してみませんか。

今回は奥様が前頭側頭型認知症のAさん、ご主人がアルツハイマー型認知症のBさん、同じく奥様がアルツハイマー型認知症のCさんが参加されました。日頃のご様子や普段心がけておられることなどをいろいろとお聞かせくださいました。

 


 

私の方が間違えていることがある(笑)

いきいき:Aさんの奥様は いきいき*がくだい に通所されるようになって最初はかなり緊張されるご様子も見られましたが、だいぶ馴染んでこられたように感じます。最近のご自宅でのご様子はどうでしょう。
Aさん:相変わらずマイペースといいますか、時間にはうるさいですね。基本的に記憶はしっかりしていますので、ものごとが決めた時間通りにいかないとイライラします。スケジュールなどは正確に覚えていますので、逆に私が試されるようなところがあります。こちらが間違えていることがある(笑)。また、前頭側頭型認知症という疾患の性格上他人に対して配慮することが難しく、周りの状況に関わらず自分が思った通りに行動してしまうことが多いですね。
いきいき:奥様とお二人でいらっしゃるところを拝見すると、何度も同じことを確認される奥様に対して、いつも穏やかに応えていらっしゃいます。イライラしてしまうことはないですか。
Aさん:最初のうちはついイライラしてしまって言い返したりしていましたが、最近は病気がさせていることだと落ち着いて対応できるようになりました。言い返したりしても状況が悪くなるばかりで良いことは一つも無いですからね。
Bさん:本当にAさんのおっしゃる通りですね。良いことなんて一つも無いですよね。
Cさん:私も同感で、全くその通りだと思います。でも、私の場合どうしても自分の感情を抑えきれないときもあります。つい言い返してしまったり、物にあたったりしてしまう。もちろん本人に手を出したりしたことはありませんが…。家族会の方に相談したら「そういうこともあるよ、人間だから。あんまり自分を責めすぎないことだよ。」とアドバイスしてくださいました。ゆっくりと少しずつ受け止めていくしかないように思います。
Bさん:私も同様のことを家族会の方に相談したのですが、「自分で乗り越えていくしかない。」というアドバイスをいただきました。

 

「あっ、そうだね。」って拍子抜けするくらいアッサリとOKしてくれました

いきいき:最近メディアでも高齢者や認知症の方の運転免許返納が話題にのぼることが増えました。Bさんのご主人は車の運転がお好きだということですが、免許に関してはどうされていますか。
Bさん:そうですね。5年前くらいから運転は難しくなりましたので、免許は4年前に返納しました。
いきいき:ご主人は抵抗無く受け入れられたのでしょうか。
Bさん:さぞ抵抗があるだろうと思ったのですが、「あっ、そうだね。」って拍子抜けするくらいアッサリとOKしてくれました。本人にも運転は難しいだろうという自覚があったのだと思います。ただ、息子の方は父親があまりにあっさりと受け入れたことにかえって驚いていました。普段から自宅での夫のケアの中心は私ですので、息子は病気の進行についてあまりわかっていないところもあります。父親の病気はそこまで進んでいるのかとショックを受けていたようです。
Cさん:車での移動中に不安になったり不穏になったりされることはないですか?
Bさん:もともと運転が好きだったからか、不穏になるということはないですね。息子の運転する車に乗るのがとても好きみたいです。
Cさん:ウチの場合は車が無いので電車やバスで移動しているのですが、長時間の移動になると決まって不安定になります。最初のうちは電車やバスの窓に映る自分に気が付いて、友達に合った時のようにニコニコと手を振ったりしているのですが、移動時間が長くなると段々とソワソワしてきて不穏になってきます。自分がどこに向かっているのかがわからなくなってきてとても不安になるのだろうと思います。「どこに行くの?大丈夫?間違ってない?」と何度も聞いてきます。二人でイヤホンで音楽を聴いたりして気持ちを他にシフトするようにすると安心することもありますね。

 

早く仕事を終えて安心感を得たいんだと思います

 いきいき:前頭側頭型認知症の場合は、その症状である「何かにこだわる」「同じことを繰り返す」という常同行動を活用して行う「ルーティン化療法」が有効とされています。これはいきいき*がくだいでも取り入れている療法ですが、Aさんの奥様はご自宅で何かルーティン化していることはありますか?
Aさん:毎日朝6時頃に洗濯物を干して12時頃に取り込んでいます。天気が良い日はいいのですが、乾かないときでも時間通りに取り込んでしまうんです。仕事を終えた安心感を得たくて強引に取り込んでしまうんだと思うのですが、生乾きで取り込まれると困ってしまって…。
いきいき:どんなふうに対応されているのでしょう。
Aさん:とにかく感謝の気持ちを伝えるようにしています。「やってくれてありがとう。ほんと助かるよ。でも、もう少しだけ干そうか?」みたいな感じで柔らかく対応すると、妻も穏やかに対応してくれることが多いです。
いきいき:いきいき*がくだいでのご様子を拝見しても、何か奥様ご自身で決めておられるスタンダードみたいなものが有って、それにそぐわないとソワソワしたりされるように感じます。
Aさん:理由はよくわからないのですが、いろいろなことを私と一緒にやりたがるというか、同じタイミングでやるんですよ。床に就くのも同じ時間にして欲しがります。妻は8時には床に就きますので、私も一緒に眠らなくてはいけません。自分一人の時間が作れないので、そこはちょっと困っています。服を着たり靴下を履いたりするときも、私とタイミングを合わせて一緒に真似するようにやるんですよ。不思議です。
Cさん:いろいろな症状に共通しているのは、やはり大きな不安がのしかかっているということなのだと思います。当たり前のことが当たり前でなくなったり、自分のやっていることが正しいかどうかがわからなくなったりするいうのは本当に大変なことですよね。混乱して当然のことと思います。パートナーとしてそのことを常に心に留めておくことが大切なんだろうと感じています。

 

●開催予定日
2020年 2月27日(木)、3月19日(木)
14:00~15:30
(ご都合の良い時間においでください)
※終了しています
●場所
〒152-0003
東京都目黒区碑文谷5丁目12-20ライオンズマンション学芸大学第3 1F
※いきいき福祉ネットワークセンターの隣のビルの1Fです
●参加費
200円(コーヒーとお菓子)
●お問い合わせ
特定非営利活動法人 いきいき福祉ネットワークセンター 03-3713-8207 担当:川島

 


 

Information #017

映画「アリスのままで」

全米ベストセラー小説「静かなるアリス」を映画化。主人公アリス役を演じたジュリアン・ムーアが第87回アカデミー賞で主演女優賞を受賞したドラマです。若年性アルツハイマーの女性アリスが記憶を失っていく日々を描きます。

詳しくは コチラ をご覧ください。

 

Information #018

認知症介護に行き詰まる前に読む本
「愛情を込めたウソ」で介護はラクになる

多賀 洋子著

穏やかで幸せな日々を過ごしてもらうにはどうしたらいいのか? アルツハイマー型認知症になった夫を介護してきた妻が、認知症の人の介護に行き詰まらないための心構えを紹介します。
詳しくはコチラ をご覧ください。

 


 

東京都若年性認知症総合支援センター

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